始発とともに

「良いよ、気にしないで。
それから『蓮華』で良いから。」

蓮華が少しだけ恥ずかしそうに言った。

「そうか、じゃあ俺も北斗で良いよ。」

「…うん。」

二人の微妙な空気を読み取ったのか、秋がわざとらしく咳払いをした。

「あっ、秋も蓮華で良いからね?
私も秋って呼ぶし。」

「…分かった。」

蓮華の笑顔に、秋も笑顔で返した。

「じゃあまた明日。」

下駄箱で蓮華と別れ、駐輪場に向かった。

「…もう仲良くなったんだ?」

秋が表情を曇らせながら不機嫌そうに言った。

「秋も女子に囲まれてただろ?」

「あれは…
北斗の事聞かれてたの。」

「俺の事?」

「さっそく女子からモテモテで良かったわね。」

そう言うと、秋はさっさと自転車に乗って走り出した。

北斗は訳が分からず、とりあえず秋の後を追いかけた。