始発とともに

静かに自室に戻って、扉に鍵をかけた。

少し大きめなリュックに、数日分の着替えや日用品を詰め込む。

引き出しから通帳とカードと印鑑を取り出した。

今まで貰ったお年玉はほとんど手付かずだった。

一通りの準備を終わらせて、携帯をポケットに突っ込んだ。

机の下に隠していたスニーカーを履いた。

普段から夜に家を抜け出していた自分に感謝する。

ふと部屋を見渡した。

どれも両親から与えられた物ばかりで、思い入れがある癖に憎いような気さえしていた。

窓を開けて、いつものように夜空に向かって飛び出した。