始発とともに

「おはよう、修二さん。
って、北斗はまだ寝てるのか?」

出来上がった料理を居間に運びながら忍が言った。

「夕べは遅くまで書斎に居たみたいだからね。」

修二は困ったように微笑んだ。

「病気ね。
北斗があんなに本好きだとは思わなかったわ…」

炊きたてのご飯が、いい香りを放っている。

「起こしてあげなよ、秋。」

「はーい。」

忍の言葉に渋々頷きながら、秋は北斗の部屋に向かった。

あれから二週間が過ぎた三月末。

二人はすっかり家に馴染んでいた。

少しだけ冷たい廊下を歩きながら、秋は春を迎えた庭を見つめた。