家に着いて、玄関の脇に自転車を停めた。

「…次に荷台に乗るときは、クッション用意しなきゃ…」

秋がお尻を擦りながら言うので、北斗は思わず笑ってしまった。

「ただいま戻りました。」

玄関から北斗が声をかけると、居間から忍が顔をだした。

「おかえり。
あっ、迷い猫も一緒だね。」

「誰が迷い猫ですって?」

忍のイタズラっぽい言葉に、秋はムスッとしながら答えた。

「秋…」

北斗がたしなめるように言うと、秋はムッとしながらもなんとか表情を整えた。

「買い物ありがとう、貰うよ。」

荷物を受け取りに来た忍に、北斗は財布と荷物を渡した。

「忍さん…ただいま戻りました。」

居間に戻ろうとする忍を呼び止めた秋は、ぎこちないながらも微笑みながら言った。

「…おかえり、すぐ夕飯にするから。」

忍は秋の気持ちを感じ取ってか、優しい笑顔を浮かべながら言った。

そのまま居間に向かう忍の後ろ姿を見つめながら、秋ははぁっと息を吐いた。