始発とともに

自転車に二人乗りしながら坂を下ると、村の気配が夕方になっていた。

商店街には買い物客が集まっていた。

忍から預かったメモを頼りに夕飯の材料を買った。

「あぁ、あんた達が修二さんとこの子かい?」

最後に寄った肉屋で、体格の良い女性に尋ねられた。

「…はい。」

北斗が答えると、女性は優しい笑顔を浮かべながら北斗と秋を交互に見つめた。

「そうかい。
じゃあ、おまけしとくね?
たくさんお食べ。」

そう言って注文の倍以上の肉を包んでくれた。

「ありがとうございます。」

秋が微笑みながら言うと、女性は満足そうに笑った。

買い物を終えて家に向かう途中、秋がくすくすと笑いだした。

「どうした?」

「ん?
不思議だなって思って。」