始発とともに

「北斗…」

「これからどうなるか分からないけど、俺はこの村を出るつもりはないよ。
ここで新しく始めようと思う。
その為には大人の助けがどうしても必要だ。
それに、修二さんと忍さんは悪い人じゃないよ…」

北斗はそう言うと、秋に財布とメモを見せた。

「出会って一日の他人に買い物を頼む悪人なんて、今まで聞いたことないだろ?」

北斗が苦笑いを浮かべると、秋も思わず笑ってしまった。

「…だから、一緒にやり直そう。
こんな村で偶然出会ったんだ…
なかなか無い縁だと思うぞ?」

北斗が言うと、秋は北斗を見つめながらゆっくり頷いた。

「…そうだね。
私も頑張ってみようかな…」

秋はそう言うと優しく微笑んだ。

「じゃあとりあえず買い物して帰ろう。
二人とも心配してる。」

二人は教室を出て学校を後にした。