始発とともに

「あーあ、またお前と一緒かよ?」

少しだけ肌寒い3月。

どこの学校も卒業式なのか、町中に綺麗に着飾った大人が溢れていた。

「それは、俺の台詞!
小学校から同じで、中学でもずーっと同じクラスなんて…」

はぁと深いため息が漏れた。

「そんなに嬉しいか?」

「嬉しそうに見えるか?」

校庭には、別れを惜しむように写真を撮る生徒達がいる。

校門には、そんな我が子を待つ保護者達。

「じゃあ、また入学式で。」

「ああ、また来月。」

いたずらっぽい笑い声が響き、そして手を降って別れた。

校庭には寄らずに、そのまま校門に向かう。

何人かの声に手だけで応えて、立ち止まりはしない。

別れは始まりで、別れは別れだから。