始発とともに

「まぁ良いリハビリになるだろ。
送ってもらえよ。
…気をつけてな、秋。」

忍は呆れた様なため息と、優しい笑顔で言った。

「北斗くん携帯持ってますね?
何かあったらすぐに連絡しなさい。
…秋さん、道中気をつけて。
帰りを待ってますから。」

修二は心配そうな表情を北斗に向けてから、優しい笑顔で言った。

「はい。
行ってきます♪」

笑顔で言って、荷台に座った。

「「いってらっしゃい。」」

ゆっくり自転車が走り出した。

北斗の左手が不自由になってから初めての自転車だったが、安定感は変わってなかった。

しっかり握れなくなっていても、変わらない北斗に安心していた。

ふと振り返ると、修二と忍が道まで出てきて見送ってくれている。

大きく手を振ると、忍が笑顔で手を振り返してくれた。

道を曲がるまで、姿が見えなくなるまで見送ってくれていた。

「北斗…」

「ん?」

何もない田舎道。

すれ違う人もいない早朝に、北斗がこぐ自転車の音だけが響いている。

「いってらっしゃい…
だって。」

「…そうだな。」

北斗が優しく言ったから、つい北斗の背中に顔を埋めてしまった。

北斗はそれから何も言わずに、ただ自転車をこぎ続けた。