始発とともに

「…名前は?」

「名前?」

「『あんた』や『あなた』じゃ呼びづらいだろ?」

少女は少し目を伏せて、思案している様だった。

「俺の名前は、山内北斗(やまうちほくと)。」

北斗が先に名乗ると、少女は少しだけ表情を緩めた。

「私は、向井秋(むかいあき)。」

秋は少しだけ表情を和らげた。

「秋…
秋はどうしてこの村に?」

秋はパンをかじりながら北斗を見つめた。

「北斗が答えたら教えてあげるわ?」

イタズラっぽく言う秋に、北斗は軽くため息をつくと箸を置いた。

「俺は家出だよ…」

「理由は?」

秋が問いかけると、北斗は少しだけ視線を落とした。