始発とともに

それからしばらくして、崇と蓮華は修二と忍に連れられて帰っていった。

最後まで泣いていた蓮華に、北斗はかける言葉が見つからず、ただただ見つめるしかなかった。

秋は真っ赤に腫れた目で、北斗の横に座っていた。

「秋…
父さんを呼んできてくれる?」

「北斗…
良いの?」

「…大丈夫だ。」

北斗がそう言うと、秋は立ち上がり病室を出ていった。

扉が開いて、父がゆっくりと病室に入ってきた。

「秋、居てくれ…」

北斗はそのまま病室を出ていこうとした秋を呼び止めた。

秋は戸惑いながらも、北斗の横に戻って座った。

「優しい、お嬢さんだな。
お前が寝ている間、ずっと手を握っていた。」

父の言葉に、秋は顔を真っ赤にしてうつむいた。

「今日はどうしてここに来たんですか?
修二さんから事情を聞いて来てくれたんですよね?
それは警察官としてですか?
それとも…
一時的でも親子として暮らしてきたからですか?」

北斗の攻撃的な言葉にも、父は表情を変えることなく北斗を見つめていた。

「…答えてください。」

北斗の言葉に、父は軽くため息をついた。

「私は今でも親子だと思っている。
だから来たんだ。
まぁ…
今のお前には何を言っても聞いてもらえそうも無いがな。」

父はそう言って立ち上がった。

「早く治せ。
あまりお嬢さんに心配かけるんじゃないぞ。」

北斗に背を向けながらそう言うと、父は病室を出ていった。

北斗は言葉が見つからず、ただ閉まる扉を見つめていた。

秋がそっと北斗の手を握り締めた。