始発とともに

「…父さん…?」

愕然と見つめていた北斗の言葉に、目を閉じて震えていた秋と蓮華が目を開けた。

「北斗っ!!」

包丁が突き刺さった北斗に、秋と蓮華が悲痛な叫び声を上げた。

すると、二人を叩き伏せた父はネクタイをほどいて、手早く北斗の腕を縛り上げた。

突然の出来事に北斗は呆然としていたが、縛られた腕の痛みに顔を歪ませた。

「…お前は自分の体をなんだと思ってる…
無茶をするな。」

父は北斗の傷を見ながらそう言うと、北斗の顔を見て少しだけ目を細めた。

「お嬢さん、先生を呼んできてくれ。
北斗を病院に連れて行ってもらわないとな。」

父の言葉に、ハッとした秋が立ち上がり教室を出て行った。

そしてすぐに教職員がやって来て、父の指示で蓮華の両親は別室に連れていかれた。

それから崇と春樹も駆け付けてくれた。

「お前は…
怪我する前に叫ぶとか出来るだろ!?」

父によって止血された腕はとりあえず大量出血にはなっていないものの、深々と突き刺さった包丁に崇は憤った気持ちを隠せずに叫んだ。

「…悪かった。」

北斗は相変わらずボーッとしたまま呟いた。

何故父親がここにいるのか、何故全ての事情を知っているように対処しているのか、意味が分からずに頭が混乱していた。

「とにかく病院に。
先生、くれぐれも周りに気付かれないように頼みます。」

そう言うと、父は着ていたジャケットを北斗に掛けて教室を出て行った。