始発とともに

「蓮華、逃げろ!」

北斗が蓮華の腕をつかんで走り出そうとすると、男は北斗の左腕を掴んだ。

「痛っ!?」

北斗は痛みに顔を歪めて、思わず膝をついた。

「さあ、蓮華…
家へ帰ろう…」

恐怖に震える蓮華に男が手を差し伸べた。

「やめてっ!!」

秋は蓮華に駆け寄り、男から庇うように抱き締めた。

「どいつもこいつも…
邪魔するんじゃないよ!!」

女がヒステリックに叫び、鞄から鈍く光る包丁を取り出した。

「あんたがいけないんだよ!!」

女は包丁を振り上げると、秋めがけて降り下ろした。

「秋!!」

北斗は掴まれた左腕を無理矢理引き剥がし、女が降り下ろした包丁の先に腕を滑り込ませた。

包丁の切っ先が左腕を突き刺し、北斗は声にならない声を上げた。

「あっ…あっ…」

女は我に帰ったように、包丁が突き刺さった北斗の腕を見つめた。

そのとき突然扉が開いて、瞬く間に男と女は床に叩きつけられていた。