「どこだここ?」

気付いたら寝てしまっていたらしく、終点で駅員に起こされた。

降りた駅の静けさに驚きながらも、それなりに満足していた。

こんな田舎なら誰も知り合いがいないし、なにより静かそうだ。

「すみません。」

暇そうに座っていた駅員に道を訪ねた。

春休みに一人で祖父母の家に遊びに来たと言ったら、駅員は疑いもせずに村への行き方を教えてくれた。

「じゃあ君、あの子も一緒に連れて行ってあげてよ。」

駅員が指差す方を見ると、待合室で一人本を読んでいる少女がいた。

「あの子も村に行くんだって言ってたんだが、ずっとあそこにいるんだよ。」

「…分かりました。」

駅員にお礼を言って、渋々ながら待合室に向かった。