始発とともに

ガシャーン!!

ガラス板は大きな音をたてて割れた。

秋は思わず閉じた目を、恐る恐る開いた。

ガラスの破片の下には、蓮華も北斗も居なかった。

「蓮華、北斗!!」

崇が血相を変えて走り出し、秋も慌てて崇の後を追いかけた。

ガラス板が倒れる寸前で、北斗は蓮華に向かって飛び込んだ。

蓮華を抱き締めながら廊下に倒れ込み、ガラスの破片から蓮華を守るように覆い被さった。

「大丈夫かっ!?」

崇が叫びながら駆け寄ると、北斗と蓮華は乱れた息のままゆっくり起き上がった。

「蓮華…大丈夫か…?」

「…私は…大丈夫…北斗は…?」

息の乱れた蓮華が言って、北斗は安心させるために笑おうとしたが、床に着いた腕に鋭い痛みを感じて顔を歪ませた。

「北斗っ!!」

悲鳴にも似た秋の声に、北斗は自分の腕を見た。

そこには、二の腕に突き刺さったガラスの破片と、そこから流れる大量の鮮血が痛々しく見えていた。

「待ってろ、今誰か呼んでくるから!!」

「待った、今誰かがガラス板を倒したんだ!
まだ近くにいるかも知れない!!」

慌てて駆け出そうとした崇を呼び止め、北斗は腕を押さえながら立ち上がろうとしたが、真っ青な顔をした蓮華に腕を掴まれて動けなかった。

「誰かが!?」

崇は思わず立ち止まり辺りを見回したが、渡り廊下の周りには誰も居なかった。

「そんなのどうでもいい!!
早く病院に!!」

蓮華の悲痛な叫び声に、崇は慌てて駆け出した。