始発とともに

部屋に入ると、北斗の部屋と秋の部屋とを隔てていた襖が開けられていた。

北斗の部屋の真ん中に机が置かれ、座布団が用意してあった。

「…なんで俺の部屋?」

「そっちの方がきれいな気がするから。」

平然と言う秋の表情を見て、蓮華はクスリと笑った。

「良かった、ここに来て。」

秋がカップを蓮華の前に置くと、蓮華はコーヒーを飲んだ。

「ごめんなさい。
でも、どこへ行けば良いか分からなくて…
気付いたら二人の家の前だったの。」

「崇は?」

北斗の言葉に、蓮華はゆっくり首を振った。

「崇は合宿中だから。
あっ、連絡しないでね?
あいつ、心配するから…」

そう言った蓮華は、優しい目でカップを見つめていた。

「心配させたくないのか?」

「今回は試合前の大切な合宿だから。
それに知らせたらあいつ、家に乗り込んじゃうから。」

「俺だって話の内容次第ではそうするよ。」

北斗が言うと、蓮華は哀しそうに微笑んだ。