始発とともに

そのまま帰宅してしまい、肉屋に寄るのを忘れたと忍の顔を見て思い出した。

「珍しいな、北斗が買い忘れなんて。」

忍の笑顔に、北斗は曖昧な笑顔で応えた。

あそこで見たことは忍にも修二にも言えないと、北斗も秋も直感で分かっていた。

忍と春樹がどういう関係かは知らないが、玲奈に深く関わっていて、それは北斗や秋が興味本意で聞いてはいけないと分かっていた。

ただ、何か重大な事が起こることだけは覚悟しようと思った。

「ごめん、買ってこようか?」

「いや、何か別の物使うよ。
確か、ハムかソーセージがあったよな…」

そう言いながら台所に向かう忍の後ろ姿を、北斗と秋は黙って見つめていた。