始発とともに

「今日の仕事は庭の手入れ。
暑いから帽子かぶれ。」

そういって玄関で渡されたのは、年期の入った麦わら帽子だった。

「えー、やだぁ…」

秋は心底嫌そうに帽子を見つめた。

「夏を嘗めるなよ!?
熱中症になっても責任とれないんだから、帽子かぶれ。」

忍に無理矢理かぶせられた秋の帽子姿に、北斗は思わず笑ってしまった。

「ほーくーとー…」

恨めしそうに睨む秋の視線から逃げるように北斗は自転車をこぎだした。

山中さんの家は商店街を抜けた脇道を進んだ森の近くだった。

大きな木が木陰を作っている自宅とは反対に、庭は燦々と太陽に照らされていた。