始発とともに

「…北斗、起きてる?」

北斗は部屋の真ん中に座っていた。

本を読むでもなく、ただただ床を見つめたままボーッとしていた。

秋の声に反射的に顔を上げたが、自分の中にある説明できないこの気持ちを、どう処理して秋に会えば良いか分からずに黙っていた。

しばらく秋が様子を伺っているような気配を感じていたが、諦めたようで秋の部屋からは安らかな寝息が聞こえてきた。

別に寂しい訳じゃない。

羨ましい訳でもない。

でも何かが心に引っ掛かっていて、上手く取り除くことが出来ない。

静かな夜に、秋の寝息が妙に響いている。

穏やかだった日々に、大きな波が起ころうとしているのかもしれない。