「あの、芸能人の高澤希さんですよね?」

 

「はい、そうです。」


「すっごいファンなんです!!!サインもらってもいいですか?」


「あ、はい。」


 

 今日も俺はこうやって街中でサインを頼まれる。
 
 
「ありがとうございます、頑張ってください!!!」

 
 笑顔で手を振って小走りしていく。


 たいして俺のファンじゃないくせに。

 

 大好きなら俺が街中でサインするの嫌いだって事くらい


 わかってるはずだろ。




 芸能人だからとりあえずサインをもらっておこう。




 どうせこの程度の感覚なんだろ?






 


 道端の石を蹴る






 
 側溝に落ちて水かはねた。









 今日もどうせな一日。