ベリベリとユリを引っ剥がすと、ユリは頬を膨らませた。



「玲のケチ~・・・」

「ケチじゃない。行くよ」



その後もブチブチと文句を言うユリを引きずりながら、二ヶ月目の教室に足を踏み入れた。

ちなみに、ユリも同じクラス。

さっきよりかはマシになったユリの機嫌と反比例するように、外の方は騒がしくなってきた。

・・・うるさい。



「あ、王子じゃない?」



騒がしさが増す中、ユリが廊下の方を見ながらそう言った。



「王子?」

「うん。海東 悠斗くん。隣のクラスだよ。知ってるでしょ?」



・・・知りません。

とは言えず。

明後日の方を見てとぼけていると、案の定ユリがすごい形相になった。



「知らないのぉっ!?!?」

「だって・・・興味ない」

「常識なんですけど!?」

「そんな常識聞いたことな「おだまりっ!!」

「・・・ハイ」



ハンパなく怖いんですけど、この人。

頭のてっぺんに角が二本ほど生えていそうだ。

・・・そんなこと本人には言えないけど。

それからは、何故かユリのお説教から始まり、海東 悠斗・・・だっけ?について熱弁された。