Moon【短編】


『あ…ごめん』


ぱっと腕が解放される。



離さなくても、よかったのに。



なんて思う私の心は


彼が好きだとあらためて痛感させられて。




「・・・・別に」




きゅうっと喉が締め付けられる。



____苦しい。




『そうじゃなくてさ、うん。
だから…』



上目遣いですっと真っすぐ


だけど、どことなく瞳は揺れていて。



『可愛いなってこと!』



ドクンッ・・



「ば・・・・・え、」



響の頬がほんのり赤く染まって見えるのは



消えかかった夕日のせいか・・・・。



心臓はドクドクと脈を打ち熱が込み上げてくる。



君は、私をどうしたいのだろうか。