Moon【短編】




辺りはもう静まり返っていてあっという間に時間は過ぎていた。



「あ・・・・・


今夜は月だね。」




暗い闇の中に光を放つ綺麗な形をした月。




響は覚えているだろうか。




『そーだなー』




覚えてるわけ、ないのに。




「ねえ、響…。」




足を止め、口を開いた。




震える手に力を込め、重い口を開く。




「結婚…するん、だよね?」




何を言ってるんだ私は。



分かってることなのに。もうダメなのに。




『・・・・おう。』




ズキン・・ッ




ほら、自分が傷つくだけなのに。