幸せ気分を満喫していた。


すると上から液体が降り注いできた。


ポッつんときた瞬間、ゲリラ豪雨に変った……。


「うわっ。」


二人の意気が合う。


声が揃う。


「大変、これ晴雨兼用傘だから使ってください。」


隣の彼は笑顔で黄色い傘を私に渡した。


大人の男性では久しく見ていない純粋な笑顔だった。


「ありがとう。」


と私は傘を受け取り黄色い影に包まれた。たった数秒のやり取りの中に暖かさと幸せな痛みを感じた。


「じゃ。」



そういって隣の彼は去っていった。



「あっ、あの……名前……」


ゲリラ豪雨の中で走っていく隣の彼。私の声が届くはずもなくすぐに見えなくなった。