彼×私×彼女の事情

私の疑問をよそに恵子は話を続けた。


「きっとバチが当たったんだなぁ。私ね、彼を奪ったの。彼女がいたんだけどどうしても彼の事を諦めきれなくて……。そんな事をしたからだよね。彼の気持ちを捕まえきれなかったみたい。だからあなたは何も悪くない。堂々としてて。」


恵子の強さは私の予想もサキの予想を越えていた。


ここに来て鈴ちゃんの心配をする恵子に尊敬と人をここまで愛することをできていることを羨ましく思う。


正直、嫉妬した。


……。


私もサキもかける言葉がなかった。


沈黙が流れる。


「もぉ、二人とも大人なんだから何か言ってよ。暗くなっちゃうじゃない。」


恵子は涙を拭いながら言った。


不幸へ誘う情報を持ってきた私達。そんな私たちにまで気遣う態度に罪悪感を感じた。


「鈴ちゃんだっけ?」


「はい」


恵子の問いに返事をする鈴ちゃん。


「ごめんね。名前覚えるの苦手で。私を取るかあなたを取るかは彼に決める権利がある。それからでいいのよ決断するのは。だから泣かないで笑って。」


「ありがとう」


私から思わず出た言葉。


「なんで美樹が御礼を言うの。変な行動するから笑っちゃうじゃない。」


きっと恵子は今だけじゃなく私たちの遠い未来を想像してくれているような気がした。私と鈴ちゃんの関係が上手く続くように。


「彼にメール入れるね。できるだけ今日、会うようにしましょ。その方が裏工作もできないし。私も疑われずに済むから。」


恵子の提案を鈴ちゃんも受け入れてくれた。


そして恵子の家で話の続きをすることになった。


恵子とサキは先にでてタクシーを拾ってくると。そして落ち着いたら来てと言って店をでた。


最後まで大人の振る舞い。


私は自分が恥ずかしくなった。


この間、健治と再開したときもっといい女になれたんじゃないか。恵子みたいに振る舞うべきだったと思った。