彼×私×彼女の事情

凍りつく雰囲気の中、サキが先頭をきってくれた。


「新堂さんモテるでしょ?」


「まぁーそうだね。目立つからね。」


二人の会話に驚いて鈴ちゃんは私の顔をみた。鈴ちゃんの言いたいことは表情から解った。私は黙って頷いた。


「何?誘われたりした?」


冗談ぽく愛らしくいう恵子。


震え出す鈴ちゃん。


私はそっと手を握っり小声で「大丈夫」と伝えた。


「そうだよね。この状況から考えて二人だったら可笑しいよね。」


空気を読むように話す恵子。
でも作り笑いができきれてない。


「推理通りよ。あなたの婚約者が鈴ちゃんにプロポーズまでしているの。そして鈴ちゃんは新堂さんに婚約者がいることを今ここで知ったの。」


サキの言葉に泣き出す鈴ちゃん。


無理もない。


入店してたった10分程で人生が変わった。数日前と今では全てが違う。


人とはとても恐ろしいものだ。


昨日ご飯を食べながらサキと考えた作戦。


両方が必ず傷つく。どちらにも不利にならないようにするため二人に同時に告げようっとなった。


その時にサキは恵子についてこう語った。恵子は芯が強いから大丈夫。あえて女性に嫌われるブリッ子キャラを演じてきた人生。ハイリスク、ハイリターンを受け止めるだけの度量があると。


ただ、鈴ちゃんは……解らない。それをフォローするのは私だと。


私は泣く鈴ちゃんの肩を抱き寄せた。


「このパターンははじめてだな。」


恵子は下を向きながら話を始めた。


「目立つ人だから周りの女性もほっとかない。彼も男性だから寄ってくる女性を邪険に扱うような事はしない。だから私の前にも別れて欲しいって言ってくる女性も沢山いるの。でもね彼も勘違いをさせる事はあっても決して踏み込むことはしない人。彼のプライドみたいなも。だから私も本命って大きな顔できたの。でも今回のように踏み込んでるのは初めて。きっと彼から誘ったのね。寄ってくる女性には私の存在すぐに明かしてたみたいだし。」


恵子は膝に置いた手をギュッと強く握っている。


そしてその先ある鞄が目に入った。


エルメスの鞄にキーホルダー?


ハッキリは見えないがあのピンクは確か……。