すぐに出る。


携帯を握りしめていたので速い。


「もしもし」


「どうしたの?何かあった。気分悪くなった?」


私が話すと同時に慌てるように聞いてきた。


「大丈夫だよ。体は平気」

「じゃ、どうしたの?すぐ帰ろうか?」


何も無かったように心配してくれる。これが俊くんのいい所だ。損得勘定などなにもなくただ純粋に。


「帰らなくていいよ。今朝のこと謝りたくて……ごめんなさい」


ドキドキした。こんな緊張感、最後にいつ味わったかな。素直さが大事だし私が悪い。


「なんだぁ〜大変なことになったのかと思った〜あぁ〜よかった」


「許してくれるの?」


「許すも許さないも病気の時は誰だってイライラやストレスがたまるもの。思ってもみないこと言ってしまうものだから気にしなくていいの。そんなことより早く寝て病気を治しなさい」


「はい。仕事中にごめんね」


「大丈夫。隠れてかけてるから」


「えっ?じゃこれ以上邪魔してはいけなね」


「うん。今日の夜、又行くから。じゃバイバイ」


っと呆気なく終わった。私だけが重要なことと思っていたようだ。

また会えるって素晴らしいことだと思った。


人は価値観もとらえ方も違う。私が重要でも俊にはたいした事がないように私がたいした事でないと思っていても俊には重要なこともある。これがうまくいかない理由。


私は今回の事で改めて思った。俊のことが本気で好き。そして私たちは偶然が重なって繋がった他人同士。だから話さないと伝わらないということ。解り合う努力が必要であること。