「うん。今日から、ここの担任になった吉川 高志(よしかわ たかし)。よろしくな」 そう言って、先生は右手を差し出した。 「よ、よろしく。私、中野 梓」 ゆっくり差し出した手は、先生にギュッと握られた。 大きくて、案外厚みがあって、温かい。 それが、先生の手の第一印象。