「ーみー…奈美さん。」

肩を優しく揺すられて、奈美はゆっくりと瞳を開けた。


目を開けると、整った顔立ちの青年が覗き込むようにしてこちらを見ていた。


「奈美さん。こんなところで寝ていたら風をひきますよ?」


「…あ、私いつのまにか寝ちゃってたんですね」

そう言うと青年は微笑みながら奈美の頭を優しく撫でた。


「辛そうな顔をしてましたが…どんな夢をみていたんですか?」


夢…

私がこっちに来る前の世界の…


「奈美さん…?」

返事がなかったのを不思議に感じたのか青年はまた最初と同じように顔を覗き込んだ。


「あっ…、そんなたいした夢じゃありませんでしたよ。私の嫌いなきゅうりが出てきたんです。すっごくきつかったです!」


夢でまで出てくるなんて…!と言って笑うと、青年もにっこりと笑った。