七月になると、日射しは更に強くなり、外に出る事が億劫になる。
 特に放課後の帰宅は、時間的に日差しが強いから、家に着いた頃には体は汗まみれになってしまう。
 家に帰り、リビングの戸を開けると、とても気持ちの良い冷風が体をすり抜ける。
 ああ、幸せ。
 ここは天国か?
 暑い外から涼しい部屋に入る度に思う。
「あら、おかえり」
 ソファに寝転がって、ママは雑誌を読んでいた。
 すぐ隣のテーブルにはアイスコーヒーが置かれている。
 良いなぁ……ママは……。
「汗かいたからシャワー浴びて来るね」
「その前に、部屋にランドセル置いて来なさいよ」
「はーい」

 部屋に戻り、ランドセルを降ろした。
「熱っ」
 直射日光がランドセルの表面に当たっていた為、かなりの熱を帯びている。
 触らないで置いておいた方が良いかな。