「ちょっ、わ、私、ほん怖とか見ても一人でお風呂にもトイレにも入れたから!」
 彼女のからかい気味な言葉に反応して、つい焦ってしまった。
 本当は、お風呂にはママと一緒に入ったし、夜中のトイレには、ママを起こして付いて来てもらった事がある。
 怖い話に、あまり耐性がある訳ではないのだ。
 しかし、一番慌てていたのはマミちゃんの方だった。
「え? えっと、やっぱり……その話、私は……いいかな……なんて……」
 明らかに怖がっている様にしか見えない。
 まったく、昔からクールに振る舞ってはいるけれど、どこか抜けてるんだから。
「マミちゃん、もしかして怖いの?」
 私の問いに、マミちゃんは更に大慌てする。
「そ、そんな訳ないでしょ! 私は……優子とは違うの……」
「へぇ、それじゃあマミちゃんのお手並み拝見といきますかぁ。どこまで私の話に耐えられるかなぁ」
 私達は息を呑んで、由美ちゃんの話を聞き始めた。

 ここ最近の話なんだけどね、隣のクラスの子が塾の帰りに変な女の人を見掛けたらしいよ。
 その女の人は、真赤なコートを着て真っ赤なハイヒールを履いて、黒いサングラスに真っ白なマスク、それと物凄く長い髪をしてたんだって。