どうやら渾名で呼んだのは効果抜群だった様だ。
 マミちゃんの表情が柔らかくなった。
 頬を真赤にして焦っちゃって、なんだか可愛い。
 私はケロリと答える。
「可愛いと思って」
「馬鹿……そんな事……ない」
 口ではそう言っているが、照れているのを隠し切れていない。
 マミちゃんが、これ以上機嫌を悪くする事はなさそうだ。
 機嫌を損ねた理由。
 それは先程の皆の態度もあるかもしれないが、何より麗太君の事だろう。
「麗太君の事……もしかして怒ってる?」
「別に怒ってはいないよ。怒る事でもないし……」
「ただ」とマミちゃんは続ける。
「何て言うか……。ちょっとだけ不安だったのかも」
「何が?」
「その……」
 マミちゃんは少しだけ言葉を詰まらせ、目を反らした。
「優子が……沙耶原と一緒に住んでるなんて……」
 隣に住んでいた男の子と同居する。
 最初は少しだけ抵抗があったけれど、もう既に慣れてしまった。
 というより、私、ママ、麗太君の三人の生活は、今までになかった様などこか異質な楽しさがある。