いくら彼女の名前を呼んでも、こちらを振り返ってはくれない。
 ダメだ。
 この調子だと、以前の様に口を利いてくれなくなってしまう。
 どうしたら良いのだろう。
 マミちゃんが私に耳を傾けてくれる言葉。
 もしくは、マミちゃんの心情が大きく動く言葉……。
 頭の中で展開された私の考え。
 マミちゃんが動揺する言葉。
 それと言ったら、もうあの渾名しかない!
「ま……マミマミ!」
 私に背を向けていたマミちゃんは、渾名を叫ばれた瞬間、勢いよく振り返った。
 天美マミ……あまみまみ……まみまみ……マミマミ。
 それは以前、マミちゃんが初めて私の家に来た時、ママが付けた渾名だ。
 からかい気味にマミマミと呼ぶママに対して、マミちゃんは頬を真赤に染めて右往左往としていたものだ。
 それからというもの、マミマミという渾名で彼女を呼ぶと、その日の事を思い出してしまうのか、確実に頬を真赤に染めて動揺を隠し切れなくなる。
「あ……ま、マミマミって……。それ、いつの渾名よ! 馬鹿じゃないの! どうして今、その渾名で呼んだの?!」