逆に返された冷たい一言で、その場の空気が張り詰めた。
 自分自身がこの場にいては、空気が悪くなる。
 そう思ってしまったのか、マミちゃんは教室に戻ってしまった。
「マミちゃん!」
 呼んでも何も反応せず、そのまま教室のドアを開けて廊下へ出て行った。
マミちゃんは機嫌が悪くなると、いつも一人でどこかへ行ってしまう。
しかも、かなり長く根に持ってしまって、酷い時には三日間、誰にも口を利かなかった事がある。
「……どうしよう……」
「放っておけば良いじゃん」
「え?」
「勝手にベランダから出て行ったの、マミちゃんなんだから」
 その口調は、どこか冷たかった。
「そんな……放っておけないよ!」
 ベランダから教室を抜けて廊下に出ると、マミちゃんはまだ見える距離を歩いている。
「マミちゃん」
 追い掛けてマミちゃんへ呼び掛けた。
 しかし、マミちゃんを歩を止めず、振り返る事もなく歩く。
「マミちゃん!」