「本当ですか!? 嬉しいです!」
 マミちゃんは嬉しそうに笑い、紅茶を飲む。
「この紅茶も美味しいですよ」
「そうでしょ。庭にあるプランターで植えた葉を使ってるの。前に、優子と麗太君で葉を摘んだのよ」
 そういえば、春休みに手伝わされた覚えがある。
 毛虫やらミミズで大騒ぎしている私やママを横に、麗太君は平気な顔をして虫を追い払ってくれたんだっけ。
 あの時は、さすが男の子だなぁと関心したものだ。
「え? 沙耶原が?」
「うん。麗太君、凄く頼りになったんだよ。私やママが虫を見て大騒ぎしてたら、麗太君が追い払ってくれたの!」
「そうそう。やっぱり男の子ね」
 麗太君は照れ臭そうに微笑み、紅茶を飲んだ。
「そう……沙耶原が……」

 それから私達は暫くの間、世間話やテレビゲームで盛り上がった。
 マミちゃんが麗太君と少しだけ距離を置いているのは、やっぱり気になったけれど。
「私、そろそろ帰りますね」
「あ、もう五時じゃない。そうね、そろそろ帰らないとね」
「……はい」
 帰り際、なぜかマミちゃんは、どこか悲しげな表情を浮かべていた。