同士だからって、優子の家に沙耶原を居座らせる事はないと思う。それに、沙耶原の父さんは? どうして息子だけを隣の家に預けてるの? 沙耶原、父さんはどうしたの?」
 麗太君は今まで見せた事のない様な、不機嫌極まりない顔をして、メモ用紙にシャーペンを走らせた。
『天美には、僕の父さんの事も母さんの事も関係ない。お前にどうこう言われる筋合いなんてない』
 そう書かれたメモ用紙を見せられたマミちゃんは軽く舌打ちを鳴らし、麗太君を睨む。
「はぁ? 私は、あんたが優子の家にいる事が気に喰わないって言ってんの! 分かる?!」
『優子と優子の母さんは、ここにいて良いって言った』
「え?」
 拍子抜けした様な声を上げ、マミちゃんは悲しげに私を見た。
「優子……」
「マミちゃん……あの……」
 少しの沈黙が下りたすぐ後、ママが戻って来た。
「あらあら、どうしたの? なんか雰囲気が暗いわよ。もしかした、優子とマミちゃんで麗太君の取り合いでもしてたの?」
「ち、違います! そんな訳ないじゃないですか!」
 からかい気味なママへ、真っ先に反論したのはマミちゃんだった。