無駄な祈りを込めて、玄関のドアを開けてマミちゃんを招いた。
「ただいま」
「お邪魔します」
 玄関に麗太君の靴がないという事は、まだ帰って来ていないのだろう。
「おかえりないさい」
 奥からママが出て来る。
「マミちゃん、いらっしゃい」
 ママを見るなり、マミちゃんは頬を少しだけ赤く染めて、料理本とクッキーの入った巾着袋を差し出した。
「あの、これ……作ってみたんです。よかったら……食べてみて、下さい」
 ママの前でのマミちゃんって、なんだか素が現われている様で可愛いな。
「はい、ありがとうね。そろそろお昼だから、マミちゃんも一緒に食べてく? 今日はチャーハンよ」
「良いんですか?」
「ええ、勿論よ」

 私とママ、その向かいにマミちゃん、
 テーブルの上には三人分の皿に盛られたチャーハン。
 どうやら麗太君の分はキッチンに置かれている様だ。