学校からの帰り道である通りは、人や車の通りが多く、それに加えて帰宅中の私達と同じ小学生も、ちらほらと見られた。
 もう昼時だ。
 この時間になると無償にお腹が空く。
「今日のお昼は何かなぁ」
 呑気に呟くと、隣にいたマミちゃんはクスッと笑った。
「優子は呑気だね。その頭の中には三食の事しか入ってないのかな?」
「そんな事ないよ。昼時だから考えてるだけ」
「優子の母さんが作ってくれる昼ご飯?」
「うん!」
「そっか、美味しいよね。優子の母さんが作ってくれる物なら何でも」
 マミちゃんは、私のママと仲が良い。
 というより、マミちゃんが一方的に憧れている、とでも言うのだろうか。
 どうしてかママの前では、マミちゃんはいつもの様なクールな表情は見せず、敬語まで使って楽しそうに話しているのだ。
 それは私達がまだ小学二年生の頃、マミちゃんが初めて私の家を訪れた時からだった。
「ねえ、優子の家に寄っても良い?」
「え? なんで?」