おそらく、先生がフォローを入れてくれるに違いない。
 先生がどんな行動を取るのか、少しだけ気になった。
「次は……沙耶原麗太君ね」
 麗太君が席を立つと、教室に所々からひそひそと小さな声が聞こえて来る。
「沙耶原君、声が出せなくなっちゃったんだって」
「あ、それ知ってる。でも、どうして?」
「よく分からないけど、交通事故がどうとか」
 以外にも、麗太君が喋れなくなったという事に関しては、クラス中に広まっている様だ。
 声の主の大半が、クラスでは活発そうなグループの女の子達だった。
 そんな女の子達を、どうしてか男の子達は睨んでいる。
 麗太君の事に関して、勝手に何かを言われるのが気にくわないのだろう。
 しかし、ここで目立つような行動を取れば、これから女の子達から敵視される。
 きっと怖い筈。
 勿論、私もそうだ。
 同じ女の子をクラス内で敵に廻せば、教室で肩身の狭い思いをするのは間違いない。
 そうだ、マミちゃんなら。