「え? えぇっと……」
 言葉に詰まる私に、マミちゃんは頬笑む。
「優子は優しいね。でも、優し過ぎると損する事もあるんだよ……」
「どういう事?」
 問い返した時、マミちゃんは私から目を反らしていた。
 マミちゃんは、知り合った時から妙な事を度々口にしている。
 彼女との付き合いは長いが、その言葉に隠された意味も、考えも、私には知る由もなかった。

 始業式の後、クラスで学級活動が行われた。
 当然の様に、最初はクラスメイト全員の自己紹介から始まる。
 どうせ、たった二クラスしかないんだから、殆どが顔見知りな訳だけど。
 麗太君はどうするのだろう。
 言葉を発する事が出来ないのだから、自己紹介以前の問題だ。
 そういえば、始業式の時にクラスの男の子達と楽しそうに笑っている姿を見た。
もしかしたら、私がそこまで心配する必要はないのかもしれない。
 皆が順に席を立ち、その場で自己紹介をする。
 数人の自己紹介が終わり、麗太君の番になった。