窓から注ぐ春の日差しは、教室の並ぶ長くて一直線な廊下を照らしていた。
 やはり廊下には誰もいない。
 皆が教室に入っているのだろう。
 二人で歩を忍ばせて廊下を歩く。
 二階廊下の一番奥。
 そこに五年二組の教室はあった。
 後ろには麗太君が、しっかりと付いて来ている。
 やはり、五年二組の教室は静かで、皆が席に座っている様だ。
 どうしよう、こんな状況で教室に入るなんて、なんだか恥ずかしい。
 それに麗太君もいるし。
 朝から男の子と一緒に登校なんて、きっと何か変に思われるに違いない。
 でも、このままでもいられない。
「行くよ」
 振り返る事なく、後ろの麗太君に小声で言うと、私は教室へ入った。
 皆の視線が私に集中する。
 恥ずかしくて頬が火照る。
 教室に入って、最初に目に着いたのは担任の先生だった。
 若くて、表情にはどこか幼さが残っている女の人だ。