隣の家に住む、同級生の麗太君のママが亡くなった。
 その事を知ったのは、麗太君が私の家に預けられる事が決まった日であった。
 
=^_^=

自宅の玄関先で、麗太君のパパと私のママが何かを話している。
その場の空気は、今年から小学五年生へ進学する私にとっては、居合わせたら泣いてしまいそうな位に重苦しかった。
「それじゃあ、今日から息子を宜しくお願いします」
 とても背の高いスーツ姿の、麗太君のパパ。
 彼の後ろから、ひょっこりと麗太君が顔を覗かせた。
 どうやら、先程からそこにいた様だ。
 彼の手には、なぜか大きな旅行鞄がある。
 ママが麗太君に顔を近付けて、にっこりと笑う。
「麗太君、よろしくね。今日からは、私と優子と一緒に暮らすのよ。ここを自分の家だと思って、好きに使ってちょうだいね」
 麗太君は首を縦に振る。
「えぇ!?」
 廊下の隅から玄関を見ていた私は、唐突な自宅への入居者に、つい驚きの声を上げていた。
 ママ、麗太君のパパ、麗太君の三人がこちらを振り向く。
「あら、優子。いたんだ。ほらこっちに来なさい。麗太君に挨拶して」
 言われた通りに玄関へ行き、麗太君の前に立つ。
「さあ、麗太。優子ちゃんに挨拶しなさい」
 背中をパパにぽんと押された麗太君は、私に一礼した。