関わりたくない人……私に対して妙なレッテルを貼っているクラスの女子達だ。
 彼女達が私を嫌っているのなら、私が近付かなければいいだけの話だ。
 由美はどうだか知らないが……。
 それとは逆に、私にとっての友人である優子。
 彼女は私にとって、本当に良い友達だ。
勿論、私は彼女に対して人間として下等に評価した事など一度もない。
 しかし周りの目は、私の思う通りには思ってくれないようだ。


 夏休み開け一日目の学校を終え家に帰ると、お母さんは声を荒げて誰かと電話をしていた。
「どうして?! マミは来年は六年生に進級するのよ?! 受験が控えてるの!」
 来年に控えている、私の中学受験の話だ。
「何でよ?! どうして私にマミの事を押し付けるの?!」
「……お母さん」
 呼んでも、お母さんは受話器に怒鳴るばかり。
 どうやら私が帰って来た事に気付いていないようだ。
 いつもそう。
 この人は平気で人の悪口を言う。
 お母さんは、かつて愛してやまなかった筈のお父さんの悪口までも、いつからか私に言う様になった。
 それも私とお母さんが顔を合わせる夕飯時に。
 お父さんは家に帰る事が少ないので、面と向かった喧嘩を見る事は少ないが、今の様な電話越しの言い争いなら嫌と言うほど目にしている。
 私はお母さんのゴミ箱だ。
 内に溜めこまれた汚ない物の捌け口。
 それがお母さんにとっての私。
 自室へ向かい、背負っていたランドセルをベットに投げだした。
 いつもの事。
 いつもの事なんだ。
 そう思っていないと、日々を過ごしていられない。

「マミ。あなたの父親は本当に最低よ。あなたと家の事を全て私に押し付けて……」
 お母さんと私の二人で囲む食卓。
 二人分の市販の弁当。
 缶コーヒーと缶のオレンジジュース。
「あなたも思うでしょ? あの人は最低の人間なの。家にお金を入れるだけで、まるで私を家畜の様に扱っている」