ぶらりと町を歩く巴
「はる達に団子でも買っていきますか。」
そう呟く巴の表情は和やかだった。
「おばちゃーん 団子く「着いて来い!」
巴の耳に入って来たのは男の声それもどうやら女を脅してるらしい。
茶屋の前でやり取りを始めるからそれが邪魔して団子が買えない。
痺れを切らした巴が止める前に緋色の髪を揺らした青年が割って入る
「嫌がってるだろう やめてやれ」
あまりの剣気に男はその場を去る。
女からの礼もそこそこ再び歩き出した青年に巴は声をかける
「いやー 流石ですねお兄さん」パチパチと手を叩き笑いかける巴をみて青年の第一印象は決まった。
(沖田に似ているな)
「たいした事はしていない」
内心では失礼な事を思いながらも答える青年
「君のお陰で団子買えましたしお礼に食べてきません?」
巴は笑顔で聞く。
実は青年の空腹は限界を超えていてこの申し出を断る理由はなかった。
そのため青年はその申し立てを受け入れる。
「すまない」
それを了承と受け取った巴は近くの椅子に腰掛け隣を青年に進める。
「所でお兄さんお名前は??」
「夜乃雛斗だ お主は??」
雛斗の問いに巴は少し躊躇うがそれも一瞬ですぐに優しい笑顔を浮かべ答える
「小萩巴です」
苗字は勿論偽名だ
「巴……」
雛斗が巴の名を呟く
その表情に悲しげなものが含まれており巴は不思議に思う。
「知り合いでも??」
だからつい聞いてしまう。
「あ、まぁそんな所だ」