「鴇 起きろ」
短髪茶髪の青年が毛布に包まり眠る少女を起こす。
「…はるですか おはようございます。…それと僕は巴です。……」眠そうな目を擦りながら彼女は答える
「鴇は鴇だ 何故真名にこだわる」
「捨てれば人を失いそうで怖いですから。今は鴇でいいですからいつか巴と呼んでください」巴は笑うと階下へ下りていく。

「鴇 早速頼む」
「…はい…」
巴は表情一つ見せずにその場を立つ
「逝ってらっしゃい。」
真顔で言うはるに巴は
取りあえず「漢字が違います」と突っ込んでから姿を消した。

「えーと 名前忘れました。
まあ 私怨はないですが死んでいただきます。」
巴は幼子のように笑うと刀を抜く。
「な!! ま 待て 話せばぐぁっ」
「残念ながら拒否権などありません。……あぁ 死人に言っても意味ないですね…」
少女は笑った
夜中なのも気にせず
腹の底から大声で
「あはははははははははははははははははは…はははは…はぁつまらないです」
彼女は狂っていた
人を殺しても 笑っても
つまらない
彼女を人でいさせる最後の枷は彼女自身の真名と言葉
笑い飽きた巴は刀の血を拭い仕舞うとヒタヒタと足音をたてながら去っていく。


これが彼女(人斬り)の日常