〈やっぱりわたし、
信用されてないのかなぁ〉

と燐は不安になった。

沖田のその目を
見てしまった燐は
悲しいと思いながらも、
もし、斬られるなら
沖田が良いなんて事を
思っていた。

「おい!総司。」

「何ですか?土方さん」

「そいつの名前
聴いてないぞ」

「それは、
皆さんが集まった時に
一人来る度に、
自己紹介なんて
してたら時間の
無駄でしょ?」

「すみませんが、
今いる幹部の
皆さんを此処に
呼んで下さい」

「分かった
ちと待ってろ」

土方が立ち上がって
部屋を出て行った。

〈私、さっきから、
彼女の名前
呼んでたんですけどね〉

と沖田は心の中で
苦笑いした。

〈土方さん、
聞いてなかったんですね〉

十分程して、
土方が戻って来た。

土方の他に四・五人居た。

どぉやら、他の奴らは
見回りに出ていて
居ない様だ。

「土方さん
何なんですか?
いきなり部屋に
来いだなんて」

「総司がお前等を
呼んで来いって
言うもんだからよ」

「総司、何の用?」

「てかさ、
その女の子誰?」

燐を見て質問して来たのは

二番隊組長 永倉新八だ。

「永倉さん、
取り合えず座りましょ」

「皆さんも
座ってください」

「今居るのは、
永倉さんと左之さん、
それから平助と斉藤さん
後とは……おや?
珍しい人が居ますね
〈武田〉さんですか」

「ではまず、
彼女の紹介からですね」

「平助は先程、
挨拶を済ませて
しまいましたよね?」

「おぅ、そうだな」

「燐さん自己紹介を」

「そぉですね」

「守山燐と申します
沖田さんとは壬生寺で
倒れていた所を
助けて頂きました」

「そおでしたか」

山南が穏やかな声で
言った。

「皆さんの
自己紹介もしてください」

〈燐さんはきっと
誰が誰だか
分かってるでしょけど〉

「俺は永倉新八だ
よろしくな」

最初に
自己紹介をしたのは
永倉だった。

「俺は原田左之助だ。
よろしくな!!!」

「俺は土方歳三だ」

なんとも
ぶっきら棒な自己紹介だ。

「私は山南敬助だよ。
よろしくね」

何故か山南は笑顔だ。

「斉藤一だ……」

「私は近藤勇だ。
よろしく」

「武田観柳斎だ」

「自己紹介が
終わりましたね」

「燐さん
お話してください」

「そぅですね
その為に
集まって
頂いたんですもんね
先ず初めに、
私はこの時代の
人間ではありません」

「はぁ!?」

七人は声を揃えて
叫んだ。
話をしている燐と
沖田以外の
皆の頭の上には"?"が
浮かんでいる。

そんな事を気にせず、
話を続ける燐。

沖田はそんな皆を見て
抱腹転倒している。

「ちょっと待って
それどうゆう意味?」

普通そうなるよな。

「そのままの
意味ですよ」


「それだけじゃ
分かんないって……」

「えっと。
未来から来たんです」

簡潔に答える燐。

「燐さん
率直すぎですよ」

「そう言われましても、
他に言いようが
無いじゃないですか
それに、
こわーい顔して
皆さんに話せと
仰ったのは
沖田さんですよ」

ぷぅと頬を膨らませて
沖田に抗議する。

「私、
こわーい顔してました?」

「それはもう、
敵を見てる様な
顔でしたよ
だから、
信用されてないんだと
思いましたけど、
でも、斬られるなら
沖田さんが
良いなんて事も
思ってたんですよ?」

沖田の目を見て言った。

「なんで総司なんだ?」

今まで黙ってた
土方が口を開いた。

「それは……」

答えに詰まる燐……

沖田は何となく
分かってしまった。

〈燐さんは、
土方さんが
好きなんですね……
好きな人に
斬られると言うのは
確かに悲しいですもんね
此処で一つ、
燐さんに意地悪
してしまいましょうか?〉

だが沖田は
その考えをやめた。

燐にどう思われて
いようと、好きになった
女性に意地悪を
する何て、
子供のする事だと
思ったのだ。

「それはですね……」

言い淀む燐に
沖田が助け舟を出した。

「燐さんはきっと
初めて話したのが
私だったからですよ」

「ねぇ燐さん?」

「あ、はいそうです」

「それだけか?」

「はい」

「そぅそぅ」

「先程の事ですが
あれは、燐さんを
睨んだ訳じゃ
ないんですよ?」

「ほぇ?」

「ちょとした
嫉妬心ですよ。
燐さんの好き人が
解ってしまいましたので」

〈嘘ぉ……沖田さんに
彼が好きだってバレた!?〉

沖田が耳元で囁いた

"土方さんが好き
なんでしょう?"

燐の顔真っ赤である