気づいたら吸い込まれる様に近づいて、フェンス越し、彼女の指先にキスを落とした。



「・・・・・。」


「アホ面してるよ?」


「・・・・・。」


ポカンとした顔をして目を見開く彼女。

頬がほんのり桜色に変わって


・・・・・綺麗だと思った。


臆病な俺の、最後の悪あがきだ。




「帰っていいよ。」


「言われなくても帰るよ。もう授業始まるし」


そう言って微笑んだ俺を、彼女は膨れっ面をして見上げた。


「違うよ。和也の所に。」


「は?」


わかんないかな?

ストレートに言ってると思うんだけど。


さっぱり意味がわからないとゆう様な表情を浮かべた彼女に、思わず苦笑いを浮かべる。


「和也の所に、戻りな。もういいから。」


「・・・・・。」



悲しそうな顔すんだね?

何で?


だってその方が幸せだと思ったのに。