「何してんの?」
「日向ぼっこ。」
屋上のフェンスに指を絡めた彼女が、肩まで伸びた髪を風に踊らせている。
「自殺でもするんじゃないかと思った。」
「そんな馬鹿はしない」
背後に立つ彼女を振り返って、細く笑みをこぼした。
フェンスの向こう側、狭いスペースに腰を下ろして足を投げ出した俺。
こんな姿を見たら誰だってヒヤッとするだろうね
「和也が探してたよ。」
「ほんと?じゃあサボるって伝えて。」
顔だけ半分振り向くと、そう答えを返す。
「珍しいね。何かあった?」
小さく囁く様な声に無言のまま振り返ると、心配そうな顔で小首を傾げる彼女の顔が、すぐそこにあった。
どうしてこうゆう時に限って、感情が素直に顔に出てしまうのかわからない。
「こうちゃん?」
「・・・・・。」
カシャン
フェンスが小さく揺れる音。



