一人、廊下を歩いていると
バルコニーに手摺りにもたれ掛かる愛美の姿があった
俺はすっと愛美の隣に立った
愛美は俺に振り向く
「その顔は大樹だと思ったのか?」
目をキョロキョロさせながら正面に向き直す
「当たりか」
ふっと笑い、手摺りに両腕を置く
ただ空を見上げている愛美が俺に語りかけた
「私は馬鹿だよね、失恋したら涙が自然と出てくるんだね。
私に告白してくれた人達の気持ちが分かった気がした」
何を思ってそんなことを言ってるのだろうかと
そんなの当たり前だろ!って
少しいじる気持ちで、こう言った
「お前は馬鹿でしかもアホだ」
「でた、しかもダブルで!」
俺の左肩を右手でドンッと押した愛美は少しむっとしつつ
微かに微笑んだ気がした



