「なぁ、うさぴょん…」

テーブルに皿を置き、疾風が溜息をつく。

「食材の『時間』を読むの、やめてくれよ」

「あら、どうして?」

舞白は小首を傾げる。

食材の時間を読むという事は、即ち賞味期限を読むという事。

どんなに調理で誤魔化しても、舞白の懐中時計にかかれば何もかもお見通しだ。

食材の鮮度が全て暴かれてしまう。

「だからってなぁ…」

葉月も食欲が失せたらしい。

早々に煙草に火を点けた。