数々の料理やスイーツが所狭しと並ぶ多くのテーブル。

パーティーの参加者達は思い思いのテーブルに足を運び、美味しい料理や絶品スイーツに舌鼓を打つ。

しかしそんな中。

「うっ…」

秋雨は息を飲んだ。

この一角だけ目が沁みる。

やたらと刺激臭が漂っているのだ。

攻撃的な香辛料の香りが鼻をつく。

立ち昇るのは湯気。

しかも赤い湯気。

もしかしたら血液が蒸発して蒸気と化しているのではないか。

そんな連想さえさせる、真紅のスープが煮えたぎる大鍋が、テーブルの中央に鎮座していた。